尻別川統一条例(河川環境の保全に関する統一条例)
2022/01/12
清流「尻別川」は、その美しさと豊かさが地域の財産となっています。過去14回、全国の1級河川の清流度を示す河川ランキングで全国1位となっています。この尻別川流域の環境保全を目的として、流域の7つの町村(蘭越町、ニセコ町、真狩村、留寿都村、喜茂別町、京極町、倶知安町)が連携協力し、「尻別川連絡協議会」を運営しています。この協議会で、平成12年から約5年にわたり、尻別川を中心とした河川環境保全のための統一した条例案の策定を進めました。ニセコ町では平成18年3月に条例案を議会に提案、4月から施行しています。(ニセコ町ホームページから)
○ニセコ町の河川環境の保全に関する条例
平成18年3月22日 条例第2号
北海道の南西部の広大な森から湧き出た、いくすじもの流れを集め、秀峰羊蹄山、雄大なニセコ連峰の麓をぬい、日本海に注ぐ尻別川をはじめとする清流。
わたしたちは、この流域に住み、多くの川から限りない恵みを受けてきました。
川は、その悠久の歴史をつづりながら、流域住民の生命の糧となり、耕土を支え、固有の風土と文化を育み、生活に潤いと調和をもたらし、限りない恵みをわたしたちに与えてくれています。
わたしたち尻別川流域7町村の住民は、この美しく豊かな河川環境を貴重な共有財産として守り、育むとともに、将来の世代がその恵沢を享受できるよう大切に引き継ぐ使命があります。
ここに、わたしたち町民は、衆知と総力を結集し、尻別川流域7町村の一員として尻別川水系の川の美しさと豊かさを守ることを決意し、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、本町の河川環境の保全及び河川の健全利用について、町、町民、事業者及び河川を利用する者の責務を明らかにするとともに、計画の策定その他の施策を総合的に講ずることにより、尻別川流域7町村の共有財産である美しく豊かな川を守り、現在及び将来の町民が川と共生し、健康で潤いのある生活を営むことができる良好な環境の創造を図ることを目的とする。
(基本理念)
第2条 本町の河川環境の保全は、豊かでかけがえのない自然と生活環境の調和を図りながら、潤いのある暮らしができるよう推進されなければならない。
2 河川環境を保全するための施策は、町民の諸活動並びに治水及び利水等との調和を図り、将来にわたって良好な水質を保全し、豊かで快適な流域の環境を創造するものとする。
3 河川環境を保全するための施策を進めるに当たっては、町民の参加、協力及び理解に基づき行わなければならない。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 尻別川流域7町村 尻別川連絡協議会の構成町村である蘭越町、ニセコ町、真狩村、留寿都村、喜茂別町、京極町及び倶知安町をいう。
(2) 河川 河川法(昭和39年法律第167号)が適用又は準用される河川、尻別川水系を含めたすべての水流及び水面、その他公共の用に供される水路(下水道法(昭和33年法律第79号)第2条第3号の公共下水道及びニセコ町農業集落排水施設設置条例(平成14年条例第27号)により設置された農業集落排水処理施設を除く。)をいう。
(3) 生活排水 炊事、洗濯、入浴等の住民の生活に伴い排出される水をいう。
(4) 事業用排水 事業者の事業活動に伴い排出される水をいう。
(5) 浄化装置等 河川に排出される生活排水の浄化に有効な装置及び器具をいう。
(6) 河川を利用する者 河川の水の利用並びにラフティング及び釣等のレジャーで営利、非営利を問わず河川を利用する者をいう。
(町の責務)
第4条 町は、河川環境の保全及び河川の健全利用のため、総合的な施策の実施に努めなければならない。
(町民の責務)
第5条 町民は、河川環境の保全及び河川の健全利用に努めるとともに、町が実施する施策に協力しなければならない。
(事業者及び河川を利用する者の責務)
第6条 事業者及び河川を利用する者は、その活動によって河川の環境を損なわないよう、自己の責任と負担において、必要な措置を講ずるとともに、町が実施する施策に協力しなければならない。
(相互協力)
第7条 町、町民、事業者及び河川を利用する者は、河川環境の保全及び河川の健全利用のため相互に協力するものとする。
(関係行政機関との連携)
第8条 町は、河川環境の保全及び河川の健全利用に関し、河川管理者等と連携を図り、必要に応じ、尻別川連絡協議会等において協議するものとする。
(環境学習等)
第9条 町は、町民、事業者及び河川を利用する者が、河川環境の保全及び河川の健全利用についての理解並びにその活動の意欲が増進されるよう、環境学習その他必要な施策を講ずるものとする。
(生活排水の処理)
第10条 町民は、生活排水を河川に排出しようとするときは、浄化装置等を設置するなど河川の浄化に努めなければならない。
(洗剤等の適正使用)
第11条 町民は、洗剤等を使用するときは、適正に使用し、河川環境への負荷の低減に努めなければならない。
(肥料等の適正使用)
第12条 町民は、肥料又は農薬を使用するときは、これらを適正に使用し、河川の水質を汚染しないよう努めなければならない。
(事業用排水の処理)
第13条 事業者は、事業用排水を河川に排出しようとするときは、法令に定められた排出基準を遵守しなければならない。
(投棄の禁止)
第14条 何人も、みだりに廃棄物等を河川に投棄し、河川の浄化及び河川環境の保全を阻害してはならない。
(豊かな清流の保全)
第15条 町、町民及び事業者は、河川の豊かな水量と清流を保つため、それぞれの役割に応じて、その源泉である多様な森づくりに努めるものとする。
(良好な景観の形成)
第16条 町は、河川管理者等と連携して、良好な河川景観に配慮し、河川の改修その他必要な施策に努めるものとする。
(生物多様性の保全)
第17条 町は、河川における生物の豊かな多様性を支えるための繁殖環境の保全、啓発活動の推進その他必要な施策に努めるものとする。この場合において、日本最大の淡水魚であるイトウをはじめとする希少な生物に対する保護について特に配慮するものとする。
(水文化の振興)
第18条 町は、河川及び水に関わる歴史的又は文化的価値を将来にわたって適切に保存し、継承し、及び文化創造のために活用するよう努めるものとする。
(指導及び助言)
第19条 町長は、この条例の目的達成のため、町民、事業者及び河川を利用する者に対し、必要な指導及び助言を行うことができる。
(委任)
第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附 則
この条例は、平成18年4月1日から施行する。
附 則(平成23年6月27日条例第12号)
この条例は、平成23年7月1日から施行する。