工事によるイトウ生息環境損壊の再発防止を要望
2019/07/02、2019/08/08
オビラメの会は2019年7月1日付けで、鈴木直道・北海道知事と北海道建設部局・環境部局長らにあてて「北海道工事によるイトウ生息環境損壊の再発防止を要望します」と題する要望書を送りました。
2018年末から19年春にかけて、北海道後志総合振興局小樽開発建設部が倶知安町内で実施した「H30 倶登山川災害復旧工事(単独)1工区~3工区」により、延長2150mにわたって河岸植生や表土が除去され、重要なイトウ生息・繁殖環境が損壊してしまったからです。
河畔林伐採工事後の倶登山川(2019年5月、足立聡撮影)
この区間は、当会のイトウ再導入実験によって再生・復元したイトウ繁殖地のまさに核心部です。2008年から11年にかけて、北海道後志総合振興局と当会の協働による落差工改修(全5基に新型魚道を設置)が奏効し、翌12年から8期連続で再導入イトウの回帰と自然繁殖が確認されていました。
このたびの「災害復旧」工事について、当会は着工前から数度にわたって同建設部真狩出張所に対し「流域住民のみなさまの安全とともにイトウ生息環境保全にも配慮してほしい」と伝達し、着工前の計画説明と協議の約束を交わしていましたが、結果的に反故にされてしまいました。
当会からの口頭での抗議に対し、同建設部真狩出張所は2019年5月26日、ニセコ町内で当会会員を対象とした説明会を開き、「オビラメ側との情報共有と意見交換・合意形成を約束していたのに欠落させてしまった」と認めたうえ、所長と担当者が陳謝しました。
再発防止を求めた今回の要望書で、当会は北海道に対し、次の3点を求めています。
- 希少種の重要生息地との認識を持ちながら、河川法にも反するこのような環境破壊に至ってしまうのは、北海道の工事マニュアルそのものに瑕疵があるためと考えざるを得ません。すみやかに検証し、実効ある対策を講じてください。
- 尻別川や道内の他のイトウ生息地や復元サイトにおいて、二度とこのような事態を招かないよう確約し、道民に広報してください。
- 現在、当会がイトウ繁殖河川として保全活動を行なっている区間(今回の生息環境損壊区間を含む)において、北海道として今後どのような保全対策を考えていくのか、お示しください。
鈴木直道・北海道知事ほかあて「北海道工事によるイトウ生息環境損壊の再発防止を要望します」(2019年7月1日付け、PDF)
北海道後志総合振興局小樽建設管理部真狩出張所長あて「「H30 倶登山川災害復旧工事(単独)1工区~3工区」についての要望」(2019年7月1日付け、PDF)
上記のオビラメの会の要望書に対し、北海道建設部長と、北海道後志総合振興局小樽建設管理部長から、2019年7月29日付けの回答書が届けられました。
北海道建設部長「北海道工事によるイトウ生息環境損壊の再発防止の要望」について(回答)」2019年7月29日付け、PDF
後志総合振興局小樽建設管理部長「「H30 倶登山川災害復旧工事(単独)1工区~3工区」についての要望」について(回答)」2019年7月29日付け、PDF