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date h4 2021/12/28

「北海道の希少野生動植物の保護に関する基本的な考え方について(案)」に対する意見

北海道環境生活部環境室自然環境課野生生物室・意見募集担当係 御中

2000.11.6.

尻別川の未来を考える オビラメの会

(代表)草島清作/(事務局長)吉岡俊彦/(本意見担当)平田剛士

前略 私たち「尻別川の未来を考える オビラメの会」は、イトウの生息南限とされる尻別川水系で、同種(ほかの水系産のイトウと区別して「オビラメ」と呼んでいます)の保護活動を進めている市民グループです。このたびの「北海道の希少野生動植物の保護に関する基本的な考え方(案)」(以下「考え方」)に基づいて新条例が成立すれば、私たちの活動にとっても、きっと強力な「武器」になるうると大きな期待を寄せているところです。

 さらにより実効的なものになることを望んで、以下に「考え方」に対する私たちの意見を述べます。

要望1 「保護区の設定」を、対象種指定の前提条件にしないで欲しい

 ――「考え方」3(2)C項に述べられる「生息地、生育地等の保護」の考え方は非常に重要です。しかし、逆にこのことが、保護管理事業を進める上で「足かせ」になる危険をはらんでいるとも考えます。

 もし何らかの事情で保護区(コア及びバッファー地区)の設定が不調に終わった場合、当該種の保護管理事業が全く未実施のまま放置されてしまうおそれがあるからです。

 たとえばイトウの場合、繁殖地は支流最上流部、成長するにつれ本流の中・下流部、さらに河口を経て海区の汽水域へと、非常に広い範囲を利用しながら一生を送ります。このような生態の生物を保護対象と考えたとき、バッファー地区を含めると必要な保護区は広大となり、保護区設定の調整にかなり時間がかかると予想されます。

 北海道立水産孵化場と私たちの共同調査では、とりわけ尻別川水系のイトウ個体群は絶滅寸前と評価され、猶予はありません。

 一刻も早く最善を尽くすために、保護区設定の完了を待たずとも種「指定」が行われ、前倒しで保護管理事業を進めることができるよう、ぜひ配慮をお願いします。

 例えば、「考え方」3(2)Cエ項に続けて、「ただし、保護区指定が困難だからという理由で、希少種の保護管理を遅らせてはならない」などとつけ加えてはいかがでしょう。

要望2 対象種の指定は、地域個体群ごとに行うべきである

 ――北海道レッドリストで絶滅危機種とされたイトウですが、同じ道内産でも生息地ごとに危険状況には差異があります。またいっぱんに淡水魚では、水系ごとに系統群を区別することが重要で、このような種を対象にする場合、保護管理のプログラムは各生息地ごとに作成すべきです。

 仮に種名(たとえばイトウ)により指定が行われた場合でも、各生息地ごとに連携しつつも独立して保護管理事業を進めることができるよう、配慮をお願いします。

 たとえば「考え方」3(2)Dウ項を、「これらの保護管理事業を適正かつ効果的に実施するためには、目標、区域、内容等の事業推進の基本的な方針を明らかにした保護管理計画を対象動植物《(必要に応じて地域個体群)》ごとに策定するものとし、」(《》内を挿入)と書き改めてはいかがでしょう。

要望3 NGOの希少種保護管理事業に対する援助制度や規制緩和を望む

 ――私たちはすでに、北海道立水産孵化場をはじめ関係各機関・団体のご協力を得ながら、イトウ保護活動を進めてきています。しかしながら、人工増殖のための親魚飼育、河畔林再生のための植林事業、社会の理解を得るための広報活動など、ボランティアでようやく支えているという部分が大きく、とても独自にこれ以上の本格的な事業に乗り出せる状況にはありません。

 「考え方」がいう保護管理計画の早期策定に向けて、保護活動で先駆けてきた私たちとしても、より総合的な対策を早く練り上げて社会にご提案しなければ、と強い使命感を抱くいっぽう、小グループであることの無力感にもさいなまれています。

 希少種保護の目的を達するまで、長い時間がかかることはもとより承知の上ですが、途中で投げ出してしまわないよう、こんご各公共機関のいっそうの支援を望みます。

 具体的には、縦割りと揶揄される道庁機構内の仕切りを横断して、自然環境課のみならず、水産林務部、農政部などでも希少種保護のための事業を行えるような雰囲気を演出して下さい。

 そのために、たとえば「考え方」4(2)ア項を、「道は、絶滅のおそれのある野生動植物がおかれている状況を把握するとともに、緊急に保護を要する野生動植物の保護を図るため、《行政機構の枠組みを越えてあらゆる部局が一丸となり、》基本的かつ総合的な取組を実施する責務がある」などと改めてはいかがでしょう。

 また、希少種保護NGOに対する資金面でのサポートシステムの構築も強く希望します。一案として、「希少種保護のための目的税導入を検討する必要がある」といった文言を「考え方」に盛り込んではいかがでしょうか。

 以上、雑ぱくですが、どうぞよろしくお酌み取りの上、ご施策に反映いただければ幸いです。

 今後のますますのご発展をお祈りいたします。草々