倶登山川1号落差工の魚道新設工事

2007, 2022/01/09

オビラメの会は、尻別川の支流・倶登山川流域でイトウ再導入の実験を進めています。倶登山川に設置された5基の落差工に魚道を新設しようと、2006年度から北海道後志支庁農村振興課の「魚道整備環境配慮検討会」に参加。専門家さんの協力を得て、地域のみなさまとも一緒に協議しながらデザインを決定し、2008年3月、第1号となる「倶登山川1号落差工」(写真1=着工前)の魚道が完成しました(写真2、写真3)。

着工前
写真1 2007.6.23. 撮影/平田剛士
完成直後
写真2 2008.3.15. 撮影/岩瀬晴夫
倶登山川1号落差工の魚道
写真3 2008.3.30. 撮影/岩瀬晴夫

2008年6月になると融雪増水が治まって水量が減り、魚道の左右に残された「水たたきコンクリート」には、あまり水が供給されない状態になりました(写真4)。川水の多くは、落差工中央に設けた魚道路内に集中して流れています。(写真5)

2008年6月下旬を迎えると、川の水量はさらに減少し、川水のほぼ全量が落差工中央の魚道路内に集中するようになって、両側の「水たたきコンクリート」は干上がっています(写真6)。また魚道敷設前と比較すると、落差工の下流部で水位が下がり、これまでなら一年中水中に隠れていた川岸近くの河床が、水面上に現れてきました。(写真7、写真8)

5月撮影
写真4 2008.6.上旬. 撮影/川村洋司
5月撮影
写真5 2008.6.上旬. 撮影/川村洋司
6月撮影
写真6 2008.6.29. 撮影/岩瀬晴夫
6月撮影
写真7 2008.6.29. 撮影/岩瀬晴夫
6月撮影
写真8 2008.6.29. 撮影/岩瀬晴夫

2009年7月は、雨がちの日が続き、川の水量が豊富で、水たたき部にも水が供給されています。落差工直下に土砂が堆積して「かさ上げ効果」が出始め、急峻だった魚道入り口(下流側)の落差がやや緩和されつつあります(写真9)。

2010年4月29日、融雪増水期のようす。流量が増し、落差は0mの状態(写真10)。

2010年秋、後志総合振興局産業振興部農村振興課による再改修(副堤増設)が施され、水たたきにプールが形成されました(写真11)。

倶登山川1号落差工魚道
写真9 2009.7.30. 撮影/平田剛士
倶登山川1号落差工魚道
写真10 2010.4.29. 撮影/岩瀬晴夫
倶登山川1号落差工魚道
写真11 2010.11.下旬 提供/後志総合振興局産業振興部農村振興課

「イトウ再導入河川の落差工に魚道が設置されました」(オビラメの会ニューズレター31号、2009年4月、pdf)

「全国初のユニーク魚道が完成 岩瀬晴夫会員が語る倶登山川2&3 号落差工魚道の「みどころ」」(オビラメの会ニューズレター32号、2009年7月、pdf)

「倶登山川第5号落差工魚道・その特徴と見どころ」(オビラメの会ニューズレター34号、2010年6月、pdf)