尻別川視察会「重点河川」復活プランをつくろう!

2003/9/7、2022/01/03

2003年9月7日、尻別川流域踏査

倶登山川流域図 「オビラメの会」は9月7日、尻別川観察会&オビラメ勉強会「重点河川復活プランをつくろう!」を倶知安町やニセコ町で開いた。

 午前10時にニセコ町内の「ライズ」(当会事務局)に集合した約15人の参加者たちは、倶知安町内を流れる尻別川支流・倶登山(くどさん)川へ。あらかじめ用意したチェックリストを手に、川を徒歩で遡行しながら、流れの様子、川底の状態、護岸や堰堤の設置状況などを調べて回った。

 オビラメの会は今春、初めて尻別川産イトウの人工授精に成功したが(詳細はこちら)、孵化させたイトウの稚魚たちをいま仮に放流したとしても、魚たちが健康に成長していける自然環境が、現在の尻別川流域にはほとんど残されていない(尻別川踏査事業「プロジェクト2001」の結果などによる)。この日の観察会は、やはりイトウ繁殖は途絶えているものの、比較的良好な環境を維持している同支流を改めて調査し、将来的にイトウ繁殖河川として復活させるために必要な手当てを探るのが目的だ。

踏査の様子 午後からはニセコ町民センターを会場に移し、調査結果を整理。

「新たな護岸計画のものなのか、測量のための杭が打たれていた。イトウ保護のために新たな工事を控えるよう行政に陳情していきたい」

「餌環境はよさそうだったが、農地の中を流れているだけあって、底質は泥っぽい。蛇行部に護岸を当てたりするとさらに土砂が流れる危険もある」

「砂防堰堤のために、上流からの砂利の供給自体が減っているのでは?」

「これから人の力で本当に自然河川に戻していけるのかどうか、研究が必要」

 といった議論が交わされた。

表.オビラメ復活条件と重点河川の状況 (倶登山川)

条件 内容 判定 備考
稚魚が生息できる環境がある。 河岸を覆うカバーがある。 ササや草に覆われている。
浅くて流れのほとんどないワンド状の場所がある。  
親魚が産卵できる環境がある。 瀬と淵の分化が明瞭で平瀬がある(上流すぎず下流すぎず)  
浮き石状のレキがある(レキの間に泥が堆積していない) 農地からと思われる泥が堆積している。
レキ径が3cm前後である。 大小さまざまあり。
上下流に自由に行き来できる。 遡上降下を阻害するものがない。 × 堰堤(土木現業所)が3基ある。
河畔林が発達している。 両岸に連続した河畔林がある。 農地と接する部分には河畔林がない。

総合評価(5段階)=B 堰堤と泥の問題を解決できれば、稚魚放流河川として有効。

 オビラメの会はこの討論をもとに関係機関宛ての要望書を作成・提出し、パートナーシップ方式で目標を実現させる方針だ。

写真撮影/吉岡俊彦